― 種類やロースとの違い、美味しい焼き方をお肉のプロが解説 ―
「カルビ」という名前の部位があるわけではありません
焼肉店の定番メニューといえば「カルビ」。脂ののった濃厚な味わいを思い浮かべる方が多いと思いますが、牛の部位を示した図を見ても、「カルビ」という名前は見つかりません。
実は、カルビはサーロインやヒレのような、ひとつの決まった部位名ではありません。日本の焼肉店などでは、一般的に牛のあばら骨周辺にある「バラ肉」を中心とした肉が、カルビとして提供されています。
ただし、お店や商品によって使われる部位や切り方は異なります。そのため、同じ「カルビ」という名前でも、脂の量や柔らかさ、食感には違いがあります。今回は、カルビとはどのような肉なのか、使われる部位の種類や美味しい焼き方を、お肉のプロが分かりやすく解説します。

1. カルビとは?一般的には牛の「バラ肉」
「カルビ」は、韓国語であばら骨、またはその周辺の肉を表す言葉です。日本では、牛のあばら骨周辺にある「バラ肉」を焼肉用に切ったものが、広くカルビと呼ばれています。
牛のバラ肉は、大きく分けると次の2つです。
■ かたバラ
牛の前脚に近く、胸から肩にかけての部分です。赤身と脂が重なり合い、濃厚な旨味があります。かたバラからは、焼肉店でも人気の高い「三角バラ」などが取れます。
■ ともバラ
牛のお腹側に広がる部分です。脂が多く、肉の味が濃いのが特徴。カイノミ、タテバラ、中落ちカルビなど、さまざまな焼肉用の肉が取れます。
2. カルビに使われる主な部位
ひとことにお肉と言っても、実際には複数の部位が使われています。それぞれ脂の量や柔らかさ、味わいが異なるため、違いを知っておくと、自分好みのカルビを選びやすくなります。
三角バラ
三角バラは、かたバラの一部にある、三角形に切り出される部位です。細かなサシが入りやすく、柔らかな食感と濃厚な脂の甘みを楽しめます。見た目も美しく、「特上カルビ」として提供されることもある部位です。脂の旨味をしっかり味わいたい方に向いています。
タテバラ
タテバラは、牛のお腹側にあるともバラの一部です。赤身と脂が層のように重なり、カルビらしい濃厚な味わいがあります。脂が多い部分ですが、表面を香ばしく焼くことで、脂の甘さと肉の旨味をバランスよく楽しめます。
中落ちカルビ
中落ちカルビは、あばら骨とあばら骨の間にある肉です。骨の周辺にあるため旨味が濃く、噛むほどに肉の味が広がります。一般的なカルビよりも筋が感じられることがありますが、そのぶん肉らしい食感が魅力です。焼きすぎると硬くなりやすいため、表面に焼き色がついたら早めに食べるのがおすすめです。
カイノミ
カイノミは、ともバラの中でもヒレに近い位置にある部位です。バラ肉でありながら脂が多すぎず、赤身の旨味と柔らかさを兼ね備えています。切り出した形が貝の身に似ていることから、カイノミと呼ばれています。「脂が多いカルビは少し重いけれど、柔らかい肉が食べたい」という方にもおすすめです。
3. 「上カルビ」「特上カルビ」は正式な部位名ではない
焼肉店では、「カルビ」「上カルビ」「特上カルビ」といったメニューをよく見かけます。しかし、上カルビや特上カルビという名称にも、全国で統一された明確な部位の決まりがあるわけではありません。
一般的には、それぞれのお店が次のような基準をもとに、カルビ、上カルビ、特上カルビを分けています。
- ・サシの入り方
- ・柔らかさ
- ・脂と赤身のバランス
- ・一頭から取れる量
- ・使用する部位
そのため、同じ「上カルビ」でも、お店によって三角バラを使っていたり、カイノミや別のバラ肉を使っていたりします。名前だけで判断するのではなく、脂の量や肉の厚さ、使用している部位を確認して選ぶのも、焼肉を楽しむ方法のひとつです。

4. カルビが美味しい理由
カルビの魅力は、赤身の旨味と脂の甘さを同時に楽しめることです。バラ肉は脂肪を多く含み、味わいが濃い部位です。薄切りにすると焼肉や炒め物にも適しており、加熱によって溶け出した脂が赤身を包み、ジューシーに仕上がります。
また、カルビは脂が多いだけの肉ではありません。良質なカルビは、脂の甘さだけでなく、赤身部分にも肉本来のコクがあります。脂と赤身のバランスが良いものは、濃厚でありながら、後味が重くなりすぎません。
丸正フーズでは、見た目のサシの量だけでなく、脂の質や赤身の味、焼いたときの香りまで含めて肉質を見極めています。
5. カルビを美味しく焼く方法
カルビは脂が多いため、焼き方を間違えると、焦げたり脂が落ちすぎたりすることがあります。美味しく仕上げるポイントは、強めの火力で短時間に焼くことです。
① 肉を重ねないように並べる
一度にたくさんの肉をのせると、鉄板やフライパンの温度が下がります。肉から出た水分で蒸し焼きのようになり、香ばしい焼き色がつきにくくなるため、少量ずつ焼きましょう。
② 表面に焼き色がつくまで動かしすぎない
肉を何度も裏返すと、表面にきれいな焼き色がつきません。片面を焼き、肉の縁の色が変わってきたら裏返します。基本的には一度だけ裏返すと、香ばしく仕上がります。
③ 脂が落ち始めたら焼きすぎに注意する
カルビは加熱すると脂が溶け出します。長く焼きすぎると、脂と一緒に水分も失われ、肉が小さく硬くなってしまいます。両面に焼き色がつき、脂が透明になってきたら食べ頃です。
④ タレをつけた肉は焦げやすい
甘いタレには糖分が含まれているため、強火で長く焼くと焦げやすくなります。タレ漬けのカルビは、表面を焼いたあと火力の弱い場所へ移し、焦げないように仕上げましょう。

6. 脂が重いと感じたときの食べ方
カルビは濃厚な美味しさが魅力ですが、人によっては脂を重く感じることもあります。そのような場合は、薬味や野菜を組み合わせるのがおすすめです。
- ・わさび
- ・大根おろし
- ・レモン
- ・塩
- ・白ねぎ
- ・サンチュ
- ・キムチ
わさびや大根おろしを合わせると、脂の甘さを残しながら、後味をさっぱりさせられます。また、最初からカルビだけをたくさん焼くのではなく、赤身のモモ肉やロースと交互に食べると、味の違いも楽しめます。

7. カルビとロースの違い
焼肉店でカルビと並んでよく見かけるのが、ロースです。一般的にカルビにはバラ肉が使われますが、ロースは牛の背中側にある、かたロースやリブロースなどを中心とした肉を指します。
カルビは脂の甘さと濃厚な味わいが特徴です。一方、ロースはカルビより脂が控えめなものも多く、肉の柔らかさや赤身の旨みを感じやすい傾向があります。ただし、「ロース」というメニュー名も、焼肉店では必ずしもひとつの部位だけを示すとは限りません。
- ・脂の甘さや濃厚さを楽しみたい:カルビ
- ・赤身の旨味を味わいたい:ロースやモモ
- ・柔らかさと脂のバランスを楽しみたい:カイノミ
- ・噛み応えと濃い旨味を楽しみたい:中落ちカルビ
8. 丸正フーズの焼肉用牛肉が選ばれる理由
丸正フーズでは、宮崎県産黒牛を中心に、焼肉に適した部位を選んで販売しています。宮崎県産黒牛は、和牛の血統を持つ交雑種です。濃厚な脂だけを楽しむ肉ではなく、赤身の旨味と脂の甘さのバランスに優れています。そのため、焼肉にしても脂が重くなりすぎず、肉本来の味をしっかり感じられます。
また、肥育から加工・販売までを自社グループ内で一貫管理しています。一頭ごとの肉質を確認し、それぞれの部位に合った厚さや形にカットできることが、丸正フーズの強みです。
焼肉セットでは、カルビとして楽しめる三角バラだけでなく、ロースやモモなど、味わいの異なる部位を組み合わせています。脂の甘さ、赤身のコク、食感の違いを、ぜひ食べ比べてみてください。

9. まとめ|カルビは「ひとつの部位」ではありません
カルビは、牛の体にある特定のひとつだけの部位名ではありません。日本の焼肉では、主に牛のバラ肉を中心とした、脂と赤身の旨味を楽しめる肉がカルビと呼ばれています。
- ・一般的には、かたバラやともバラが使われる
- ・三角バラ、タテバラ、中落ち、カイノミなど種類はさまざま
- ・上カルビや特上カルビには、統一された部位の決まりはない
- ・強めの火力で短時間に焼くと美味しく仕上がる
- ・部位によって脂の量や柔らかさ、食感が異なる
「カルビだからどれも同じ」ではなく、どの部位を使っているかによって、味わいは大きく変わります。脂の甘さを楽しみたいのか、赤身とのバランスを重視したいのか。自分の好みに合ったカルビを見つけて、焼肉をもっと楽しんでみてください。

よくある質問(FAQ)
Q. カルビは牛のどこの部位ですか?
A. 日本では、主に牛のあばら骨周辺にある、かたバラやともバラなどのバラ肉がカルビとして使われます。ただし、カルビはひとつの決まった部位名ではなく、店舗や商品によって使用される部位が異なります。
Q. カルビとバラ肉は同じですか?
A. 日本の焼肉では、一般的にバラ肉がカルビとして提供されています。ただし、切り出す場所によって三角バラ、タテバラ、カイノミ、中落ちなどに分かれ、それぞれ味や食感が異なります。
Q. 上カルビと普通のカルビは何が違いますか?
A. 全国共通の明確な基準はありません。一般的には、サシが多く柔らかい部位や、一頭から少量しか取れない部位などを、お店独自の基準で上カルビとして提供しています。
Q. カルビを柔らかく焼くコツはありますか?
A. 強めの火力で表面を短時間で焼き、何度も裏返さないことがポイントです。焼きすぎると脂や水分が抜けて硬くなるため、両面に焼き色がついたら早めに食べましょう。
Q. 脂が少ないカルビはありますか?
A. カイノミなどは、一般的なカルビに比べて脂と赤身のバランスが良く、比較的あっさり食べられます。脂を控えたい場合は、モモや赤身ロースと組み合わせるのもおすすめです。
著者紹介
【丸正フーズのお肉屋さん】
宮崎県を拠点に、国産牛・交雑種を中心とした精肉販売を行う専門店。
肥育から加工・販売までを自社グループ内で行い、責任を持ってお肉を届けています。
“本当に美味しいお肉”を見極める専門家集団です。




























